第7話|インサイドアウトは万能か?――脱力と順序が生む「理想の軌道」――

バッティング理論

「インサイドアウトで振れ」

これは、バッティングの指導場面で、よく使われる表現だと思います。

「バットヘッドが外回りしないよう、内側からバットを出そう」

そう意識すればするほど、

  • 詰まる
  • 振り遅れる
  • 打球が弱くなる

という経験をした人も多いのではないでしょうか。

実は、インサイドアウトは万能ではありませんし、インサイドアウトで振ろうとするものでもありません。

インサイドアウトとは何か?

インサイドアウトとは、「結果的なバット軌道」のことを指す言葉です。

例えば、「バットがボールの内側から入り、外へ向きにボールを内の放つ」イメージです。

しかし重要なことは、

良い打者ほど、インサイドアウトを“やろう”としていないという点です。

良い打者のスイングをよく見ると、

  • グリップが先に動く
  • ヘッドはすぐに前へ出てこない
  • 脱力によって、ヘッドはいったん体に沿うように下に落ちる

この「一瞬の落ち」があるからこそ、

  • ヘッドは遅れて
  • 体の回転に引っ張られ
  • インパクトゾーンで自然に内側からヘッドが出てきます

ここで極めて重要なのが、この動きは「脱力できていないと絶対に起きない」という点です。

力んだ状態では、

  • ヘッドは落ちません
  • 体に沿いません
  • すぐバットが外側へ振り出されます。

つまり、脱力できない限り、正しいインサイドアウトは構造的に不可能と言ってよいでしょう。

インサイドアウトの反対

インサイドアウトの反対の動きは、一般的に「アウトサイドイン」と呼ばれます。

これは、「ヘッドが体の外側を遠回りして、ボールの外側から当たる」イメージです。

「バットの先の詰まり」や「引っかけ」が多い打者の多くは、無自覚のうちにこの形になっています。

なぜ、アウトサイドインになるのか?

代表的な4つの要因

  • 手首のコックが早くほどける
  • 力みすぎて脱力できていない
  • 肩の開きが早い
  • グリップが体から離れる

特に「グリップが体から離れる」は見落とされがちですが、重要です。

グリップが体から離れた瞬間、ヘッドは必ず外側から出ます。

逆説すると、インサイドアウトをするためにはグリップを体の近くを通さなくてはなりません。

インサイドアウトと アウトサイドインの使い分け

とはいえ、すべてのケースでインサイドアウトが正解ではありません。

では、どんな人にインサイドアウト意識は有効か?

  • 大根切り傾向の人
  • 上から叩きつける
  • ヘッドが縦に入りすぎる
  • ヘッドが遠回りして大きな円を描く
  • ひっかけが多い
  • ドアスイング傾向
  • グリップが体から離れる

このようなタイプには、インサイドアウト意識が有効です。

反対に、

  • ヘッドが下がりすぎる
  • グリップが前に出過ぎる
  • ヘッドが出てこない

こうした場合には、あえてアウトサイドインの意識を持った方が良いこともあります。

また、同じバッターであっても

【内角・低め】→ インサイドアウト意識は有効

【外角・高め】→ アウトサイドイン意識が有効

プロでも、外角高めを無理にインサイドアウトで打とうとはしていません。

インサイドアウトの意識付け方法

インサイドアウトの動きは作るものではないと述べてきましたが、自然インサイドアウトになるための役立つ方法があります。

それは、「ボールの内側下をとらえる意識」です。

右バッターの例(赤い扇部分をとらえるイメージ)

これにより、

  • ヘッドは自然と体に沿いやすくなり
  • グリップもおのずと体の近くを通り
  • 最後までヘッドが体の近くに残る

あくまで、軌道を作る意識ではなく、当てどころの意識を意識することに、集中することが重要であり、その結果としてインサイドアウトのスイングとなります。

インサイドアウトの注意点

ただし、注意点もあります。

インサイドアウトを意識しすぎると、

  • ヘッドが下がりすぎる
  • グリップが前へ出過ぎる
  • 体(胸)が早く開く

といった、逆効果が起きやすくなります。

例えば、インサイドサイドアウトを意識するあまり、グリップが前へ行き過ぎることがあります。

しかし、実際には、インパクト前に、グリップの動きをある程度止まらなくてはなりません。

なぜなら、グリップが動き続けると、ヘッドが追い越すタイミングが生まれず、ヘッドが走らない結果となります。

ヘッドを走らせるには、グリップが先行のあとに「一瞬の減速」が必要です。

これは、釣竿やムチの原理と同じです。

まとめ

インサイドアウトは、万能の技ではありません。

脱力と正しい動き(順序)の「結果」にすぎません。

そして、使うべき人・場面・球種は限られます。

そのことを意識し、あくまで調整のための一手段としましょう。

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※本記事の内容は、筆者自身の経験と考察に基づく個人的な見解です。すべての選手・指導環境に当てはまるものではありませんので、参考の一つとしてお読みください。

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