第17話|スイングにおけるリラックスとは――まずは「支えを外す」ことから――

バッティング理論

バッティング指導で「力を抜け」「リラックスしろ」と言われた経験がある人も多いと思います。

私のブログでも下記の通り、これまで再三にわたり意識して作るのではなく、脱力により自然に創られる理想の動き」について語ってきました。

第5話|縦振りの罠――「やるもの」ではなく「そう見えるもの」
近年、バッティング理論の中で「縦振り」という言葉が急速に広まりました。バットを水平に振らないヘッドを下向きに入れるボール軌道に縦に入っていくそして、「凡打が減る」「打球が上がりやすい」「フライボール革命と相性がいい」といった、非常に魅力的な...
第6話|正しい「ヘッドの立てる」とは?――映像ではヘッドは下がる理由――
「ヘッドを立てろ」この一言が、なぜこれほど多くの打者を混乱させ、なぜこれほど多くの“力み”を生むのか。ここでは「ヘッドが立つ」という表現について、感覚論でごまかさずに、そのメカニズムを解体していきます。「ヘッドを立てる」が生む“力みの罠”ま...
第8話|ヘッドは返すべきか?返さないべきか?――手首での操作すべきでない理由――
バッティング指導の現場で、昔から当たり前のように、使われてきた言葉があります。「インパクトでヘッドを返せ」一方で、特に近年のメジャーリーガーのスイング映像を見ると、ヘッドを積極的に返しているようには見えないフェース(打球面)が長く投球方向を...

ただ、その言葉通りに脱力しようとしても、思うように力が抜けないと感じる人も多いのでははないでしょうか。

実はそれは、感覚が鈍いわけでも、理解力が足りないわけでもありません。

原因はとてもシンプルです。

多くの人が、スイングとは「振り始める動作」だと思い込んでいるからです。

スイング始動時にすべきこと

これまでの話でも何度も触れてきました。

  • ヘッドは重い
  • 体幹が先に動く
  • 手や腕は基本的に“振られる側”

この前提がある以上、スイング開始でやるべきことは「腕や手でバットを動かすこと」ではありません。

それにもかかわらず、多くのバッターは「さあ振ろう」とした瞬間に、「振る=力を入れる」と錯覚してしまいます。

これが、いわゆる「初動で力む」の正体です。

実は逆だった「構え」と「スイング開始」の力具合

ここで、よくある勘違いがあります。

一般的には、

  • 構えはリラックス
  • スイングし始めに力を入れる

のが当然のように感じてしまいます。

ですが、実は正しくは逆なのです。

  • 構えている時 → グリップが不用意に落ちないように支えている
  • スイングが始まる瞬間 → その支えを外す

つまり、

  • 構え=支えるフェーズ
  • 開始=脱力して落下を許すフェーズ

という関係になります。

「グリップを下げる」ではない

私はよく「スイング開始ではグリップを落とす」という表現を使います。

ただし、これは“下げる” という意味ではありません。

正しくは、「グリップを落とそうとしなくていい、ただ支えるのをやめる」ということです。

つまり

  • 「下げる」「落とす」のではなく
  • 「落ちることを許可する」

という感覚です。

このスイング始動の瞬間に起きているのは、

  • グリップがわずかに下方向へ落ちる
  • 体幹が回転し始める
  • グリップが落ちながら少し前に動く
  • ヘッドは慣性でさらに遅れて下がる

という流れです。

この時点では、まだ「振っている感覚」はほとんどありません。

ですが、ここで正しく支えが外れていれば、その後の理想的な回転と加速は、ほぼ自動的に起こります。

「振りにいく」ほどスイングは遅くなる

面白いことに、

  • 振ろうと意識するほど
  • グリップをコントロールしようとするほど

スイングは 重く、遅く、ズレ やすく なります。

これは無駄な力が入ることで、体幹主導により腕が振られるという理想的な動きを阻害してしまうためです

つまり、「力を抜いたら偶然うまくいく」という話ではありません。

身体構造的に、そうなるという話です。

スイングの開始は、力でバットを動かすのではなく、体幹の回転に合わせて手の支えを外すことにより始まるということを、頭に入れておきましょう。

まとめて読みたい

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※本記事の内容は、筆者自身の経験と考察に基づく個人的な見解です。すべての選手・指導環境に当てはまるものではありませんので、参考の一つとしてお読みください。

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