第13話|正しいタイミングの取り方とは?――その理論と練習方法――

バッティング理論

プロ野球選手の多くが口をそろえてバッティングで一番大事なのはタイミング」と言います。

しかし、そのタイミングを「どこから、どう取るのか」を具体的に説明した言葉を、私はほとんど聞いたことがありません。

よくある表現に「1、23で振れ」というものがあります。

これ自体は、実は理に適っているのです。

ただ、

  • その「1」がいつ始まるのか?
  • どんなテンポの1、2なのか?
  • 球速が変わったらどうするのか?

といった本質的な部分は、あまり語られていません。

タイミング = 「準備」と「始動」のルーティン

タイミングとは、 ボールに合わせて振り始めることではありません。

リリースの瞬間に「来る場所」を予測し、 そこを自分のスイングで振りにいくための「準備と始動の基準(ルーティン)」を作ることです。

それが本当の意味でのタイミングの取り方です。

まず「準備」のタイミングを決める

まず決めるのは、「準備」を始めるタイミングです。

おすすめのシンプルな方法は、

「ピッチャーのテイクバックに合わせて、バッターもテイクバックに入る」

これだけです。

ここで重要なのは「早く振ること」ではなく、 準備遅れを起こさないことです。

この時点ではまだ振りません。

次に「始動」のタイミングを決める

次に決めるのが、 体重移動(スイング始動)を始めるタイミングです。

シンプルなおすすめの方法は、

「ピッチャーがテイクバックを終え、前方向へのアクセレーションに移る瞬間に、バッターも前方への体重移動を開始する」

これだけです。

あとは、第11話と第12話で最重要理論として説明した「EPR swing(アプルスイング)」の通り、

ピッチャーがリリースした瞬間に判断した

  • 球速
  • 球種
  • コース

をもとに、自分のスイングを出しに行くだけです。

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球速が変化にはどう対応するの?

  • 時速100km
  • 時速120km
  • 時速140km。

数字だけ見ると大きな差に感じますが、 実際に打者が感じるタイミング差は、時速20kmの差に対しておよそ0.1秒しか違わないのです。

つまり、この程度の球速差であれば

スイング始動を同じ基準で行っても、その後の調整で十分に対応できる範囲

なのです。

  • 「球速が速い投手だから、始動を早くしなければならない」
  • 「変化球だから始動を待たなければならない」

そう感じるのは錯覚であり、 本当は

「始動の基準は一定で、インパクト前力を込めるタイミングが0.1秒早いか遅いか程度の違い」

なのです。

つまり、

  • どの球速の投手であっても
  • ストレートでも変化球でも

とにかく同じタイミングでスイングを始動し、そこから先は「感覚的な調節」に委ねるのです。

その最後に行う「感覚的な調整」を研ぎ澄ませるためにも、この「準備」と「始動」がいつも同じであることが重要となるのです。

打つ・打たないの判断はいつするのか?

先ほども述べた通り、コースや球種などの最終判断は、ピッチャーのリリース直後の一瞬で行います。

ということは、打つ・打たないの判断も、このタイミングで行うことになります。

つまり、打つ・打たないの判断までの順序を、細分化してみると、

  • ピッチャーのテイクバックに合わせて、バッターもテイクバックする
  • ピッチャーのアクセレーションに合わせて、バッターも体重移動しはじめる(ただし、一気に移すのではない)
  • 体重移動しながら、ピッチャーがリリースする
  • リリースの直後の一瞬で、ボールで軌道を予測し、打つ・打たないを判断する
  • 打つならそのままスイングする、打たない場合はスイングを止める

という流れになります。

だからこそ、これもよく聞く指導フレーズですが

「良い見送り方とは、全てのボールを打ちに行った上で止める」

と言われるのはこのためです。

また、プロやメジャーの選手も、ボールを見送る時に、

  • 体重移動しながら
  • 身体が回転し始めながら
  • それに遅れてバットが回りはじめ
  • そこでスイングを止める

という仕草をよく見ると思います。

このタイミング理論を、選手自身がどこまで自覚しているかはわかりません。

もちろん、無意識でできてきる人も多いかも知れません。

いずれにしても、正しいタイミングの取り方を詳しく言語化すると、このような理論になるのです。

本物のタイミングの取り方練習

最後に、この考え方と動きが身体に染み付いてくると、 ある表現に自然とたどり着きます。

それが、

「自分のタイミング(間・リズム)で打っている」

という状態です。

これは感覚論でもセンス論でもありません。

  • 「準備」と「始動」のタイミング
  • 「予測」と「判断」の上でのスイング

これらが噛み合った結果、

「再現性の高い自分のタイミング」が実現するのです。

バッティング練習をする時も、漫然とタイミングを取ろうと努力を重ねても、上達は限定的です。

正しいバッティング練習は、

  • 相手のピッチャーに合わせて
  • このタイミングの取り方を繰り返し
  • 再現性の高いタイミングでスイングできる

ようになることを目指すものなのです。

私自身も、マシンによるバッティング練習では、

  • マシンのアームが真後ろ(9時の方向)を通る時に、テイクバックを開始する
  • その後すぐ、いつでもスイングし始められる体勢で、前に体重移動を始める
  • 体重移動しながら、リリース直後のボールやをみて、振り出しの判断をする
  • 振り出す時には、既にインパクトゾーンだけを見てスイングする

というタイミングの取り方が、最も再現性よくタイミングを取ることができました。

せっかくバッティング練習を日々重ねるみなさんには、より意義のある練習に時間を費やして欲しいと思います。

そのためにも、この正しいタイミングの取り方、そして第11話・第12話で取り上げたEPR swing(アプルスイング)を反復し、その精度を高めることに時間を費やしてください。

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※本記事の内容は、筆者自身の経験と考察に基づく個人的な見解です。すべての選手・指導環境に当てはまるものではありませんので、参考の一つとしてお読みください。

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