さて、第11話の前編に続き、今回もバッティング理論の核心である
バッティングにおけるボールの見方(「EPR Swing:アプルスイング」)について、スポットをあてたいと思います。
第11話から読む方はこちら↓

EPR Swing ができるようになると起こる「新しい感覚」
この瞬時判断と決断ができるようになると、同じジャストミートでも、質が明らかに変わってきます。
- ホームラン性の強い打球が出始める
- 思い切りの良い空振りができる
- 打ち損じでもチップやキャッチャー方向へのファールが増える
- 選球眼が向上する(高めのボールをリリース瞬間に判断して見送れるなど)
- 自分のタイミングでスイングできる(いわゆる「 引き付けて打つ」と「前で打つ」の両立)
- 打つ方向を意識しなくても、早ければレフト方向、遅れればライト方向に自然と良い打球がいく感覚が身につく。
これらは、全て魅力的なバッターの要素だと思います。
ただ、よく考えれば当然のことでもあります。
ボールを目で追って打とうとすると、
- 対象物(ボール)を目で見ている以上、 無視できない
- 打ちに行きながらバットの軌道を小手先で変えようとする
- 来るボールに対して打ちに行ってしまう
- 対象物を見ているが故に、体に回転やバットの動きには余計なブレーキや力みが加わる
- 結果として、理想のスイングとは程遠い
という結果に繋がっています。
つまり、私が辿り着いた一つの答えとして、「バッティングセンス」というものは、
- この「ボールの見方」ができているかどうか?
- 「EPR Swing:アプルスイング」ができているかどうか?
だったということがわかりました。
注意点としての「元に戻る現象」
ただし、「EPR Swing:アプルスイング」にも注意点があります。
一度この感覚をつかんでも、実際にボールを打ち続けると、
- 今のは良い打球だった
- 今のはなぜ悪かったのか
など、無意識に考え始め、「当てることが正解」 という、元の思考に引き戻されてしまいます。
その結果、必ずと言って良いほど、またボールを目で追いかけ、気づかずうちに「飛んでくるボールに合わせにいくスイング」に戻ってしまうのです。

だから、最も大事な意識付けは、「 ボールに当たったかどうか?」ではなく、
「 自分の思い描く思っきりのよいスイングができたかどうか?」
に常に焦点を当てることです。
つまり、継続していくためには「空振りでもいい。結果(あたり)が悪くてもいい。」という、思い切りの良さを忘れないことが重要です。
日々の練習で、自分のバッティング結果を振り返るときも、常に「自分のスイングをしにいけたか?」という、この一点を最重要基準にしましょう。
「ボールをしっかり見ろ」の正体
まとめると、「ボールをしっかり見る」とは、
「リリースからインパクトまで目でボールを追え」という意味ではありません。
正しくは「リリース瞬間を最大限集中して見て、その情報だけでインパクト位置を予測し、腹を括ってその場所を目掛けて振りに行け」ということを意味しています。
そして、これができるようになると、
- 迷いが消え
- スイングが鋭くなり
- ミート率が上がり
- 選球眼が良くなり
- おまけに、フォームまで理想的になる
という、嘘のような良いことづくめのバッティング理論です。
これは、
すべてのフォーム・理論・技術が、「どこを、いつ、どんな覚悟で振りにいくか」という判断と決断の上にしか成り立たない、
というバッティングの本質を意味しています。
これまで、このブログ(thinking-notes)の第3話から第12話では、フォームを中心にしたバッティング理論を紹介してきました。→ 下記リンク参照

実のところ、この「正しいボールの見方=EPR Swing:アプルスイング」ができているかどうかは、
フォームをあれこれ考えたり、練習量を増やす前に、真っ先に身につけておくべき「バッティングの土台」となる出発点なのです。
実際のメジャーリーガーの目線移動
ここでは、この理論の信憑性をより高めるため、私自身が撮影した連続写真を見ながら、追加説明したいと思います。
百聞は一見にしかずということで、下記はメジャーリーガー(YRG Jr 選手)の画像です。


画像を見てお分かりの通り、
- ボールが、マウンドからホームまでの半分の位置を通過する頃
- バッターは、スイングし始めると同時に、視線をインパクトゾーンに移動(先回り)
- その後はインパクト後まで、視線をインパクトゾーンに固定
していることが、わかると思います。
選手を指導するにあたって
特に、幼い頃からフォームをいじり倒すよりも、まずはこの「正しいボールの見方=EPR Swing:アプルスイング」をできているかの確認してください。
そして、それができていなければ、野球少年の日々の努力を無駄にしないためにも、まずはその感覚を掴ませることに注力してあげてください。
ちなみに、私自身の経験を振り返ってみると、小学4年生の時に初めて軟式野球チームに体験に行きました。
そこで ジャージのまま、いきなり練習試合に出してもらい、その試合で右も左も分からず、3打数3安打の猛打賞を打ったことを、今でも覚えています。
その時は、もしかするとピッチャーが投げた球を一瞬で判断して、その場所だけをめがけガムシャラに振っていたのかもしれません。
そして、それから色んな指導を受けたり、練習を重ねるうちに、いつのまにか「必要以上にボールの軌道を目で追ってしまう」という悪い癖がついてしまっていたのかもしれません。
また、プロ野球選手やメジャーリーガーでも、この理論を認識せずに、無意識でできている選手も多くいると思います。
そういった選手は、自分のスランプの中で、知らず知らずのうちに、
- 打ち損じる→
- ボールをよく見ようと意識する→
- 余計に打てなくなる
という、悪循環に陥る選手も多いのではないかと推察します。
そんな時は「何も考えないで適当に振る方が打てる」というのも、この考え方が通ずるところだと思います。
Early Pitch Recognition Swing(EPR Swing:アプルスイング)について
この第12話の最後として、メジャーリーグでは良く話題になる「EPR:Early Pitch Recognition(アーリーピッチレコグニション)」について、説明しておきます。
Early Pitch Recognition(アーリーピッチレコグニション)とは、
ボールが来てから考えるのではなく、「できるだけ早い段階で何が来るかを察知する力」のことです。
多くの初心者は、ボールが飛んできてから球種や高さを判断しようとしますが、それでは反応が遅れてしまいます。
好打者は、ピッチャーの
- 構え
- 腕の振り
- リリースの瞬間
- ボールの出どころ
などを見て、「速い」「遅い」「高そう」「低そう」と素早く予測しています。
このEPRができるようになると、迷いなく自分のタイミングで思いっきりの良いスイングができるようになります。
そして、この「Early Pitch Recognition(EPR)」の技術を使ったスイング理論を、私は「EPR Swing:アプルスイング」と呼んでいます。
みなさんも、ぜひこの「EPR Swing:アプルスイング」を習得し、「センスのあるバッター」の仲間入りをして欲しいと思います。
まとめて読みたい
第11話|バッティング理論の核心と盲点!「ボールを見る」とは?【前編】

第13話|正しいタイミングの取り方とは?――その理論と練習方法――

※本記事は【バッティング理論】カテゴリーの一編です。
※【バッティング理論】全話一覧はこちら↓

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※本記事の内容は、筆者自身の経験と考察に基づく個人的な見解です。すべての選手・指導環境に当てはまるものではありませんので、参考の一つとしてお読みください。
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