第14話|バッティング理論の前にあるもの――上達の共通基盤――

バッティング理論

これまでこのブログでは、スイング軌道や体の使い方など、いわゆるバッティング理論について書いてきました。

今回は少し立ち位置を変えて、「バッティング上達論」の話をしたいと思います。

草野球プレーヤー、野球少年、そしてそれを支える指導者のみなさんが、遠回りをせず、その努力を最大限に成果に繋げるためにも、ぜひ一読いただきたいと思います。

バッティングパフォーマンスの要素

まず大前提からお話しします。

バッティングのパフォーマンスは、「フィジカル × 技術×メンタル」でほぼ決まります。

そして、ここで言う技術とは、主にこの三つを指します。

  • 「フォーム」「スイング軌道」(第3話〜第10話)
  • 「ボールの見方(EPR swing:アプルスイング)」(第11話〜第12話)
  • 「タイミングの取り方」(第13話)
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体調、試合状況なども当然影響はします。

ただし、「長期的に上達する」という視点で見たとき、それらはいったん考えの外に置いてよいでしょう。

ここで定義するパフォーマンスは、極めてシンプルです。

来たボールをより確実に捉え、より遠くへ飛ばすこと。もちろん、最終的な目標は「試合で結果を出すこと」です。

ただし、バッティングセンターのような、まとまったボールですら、安定して捉えられない状態で試合に臨むのは、正にまぐれ当たりを期待しているのと同じです。

当然ですが、多少の差はあれど、試合で確実に結果を出しているバッターは、例外なくマシンではそれ以上の確率で捉えることができるのです。

フィジカルは裏切らないが技術は波を打つ

フィジカルトレーニングには、はっきりした特徴があります。

技術が伴っていなくても、やればやった分だけパフォーマンスは向上するという点です。

  • 筋力
  • 柔軟性、関節可動域
  • バランス感覚 など

これらは積み上げ型で、比較的努力がそのまま結果に表れます

一方で、スイング軌道やボールの見方といった技術は違います。

  • 良くなったと思ったら打てなくなる
  • 意識するほどミート率が落ちる
  • 上手くいっていた感覚が突然ズレる

こうしたことは、珍しくありません。

しかし、これは失敗ではありません。

技術とは、試行錯誤と「波」を経験しながら、洗練されていくものだからです。

万人に効く「魔法の修正点」は極わずか

よく、こんな質問を受けます。

「ここを直せば、必ず良くなりますか?」

答えはこうです。

万人に効く修正点は、存在しないわけではありませんが、ほんのわずかしかありません。

バッティングは、4スタンス理論でも述べた通り、

  • 身体特性
  • 柔軟性
  • 筋力
  • 経験
  • 動きの癖

これらの全体バランスで成り立っています。

そのため、「この形が正解」「ここを直せば誰でも打てる」といった話ほど、慎重に扱う必要があります。

多くの場合、部分的な修正は、全体との噛み合わせを見なければ逆効果になります。

バッティングは「確率」を上げる競技

「打率」という言葉が示す通り、バッティングは確率のスポーツです。

どれだけ

  • 打ち損じを減らし
  • 的確にミートする確率を上げられるか

ここが全てだと言っても、過言ではありません。

ゴルフを知っている方であれば、感覚的に理解しやすいでしょう。

もちろん試合では、配球、相手投手、メンタル、コンディションなども絡みます。

しかし、これだけは断言できます。

「練習で高確率で打てない人が、試合で高確率で打てることは、絶対にありえません

これは精神論ではなく、紛れもない事実です。

上達の分かれ道は「アウトプット」

上達できる人と、伸び悩む人の差は明確です。

それは、「アウトプットしているかどうか」です。

  • 動画を撮る
  • 人に説明する
  • 文章にする

アウトプットを行うことで初めて、自分のバッティングを客観的に見る視点が生まれます。

多くの人は、「改善方法がわからない」のではなく、「課題が見えていない」のです。

ただし、アウトプットには一つ、必ず理解しておくべき前提があります。

身体感覚と実際の動きは想像以上にズレる

自撮りした映像や画像を見たとき、そこにはほぼ必ず、身体感覚とのズレが存在します。

  • 振れていると思っていたのに、意外と振れていない
  • 止めているつもりが、身体が突っ込んでいる
  • 我慢できている感覚なのに、映像では早く動いている
  • 思っている以上にヘッドが下がっている

こうしたズレは、ほぼ全員に起こります。

これはフォームが悪いからでも、センスがないからでもありません。

人間は、「自分の動きを感覚だけで正確に把握できるようにはできていない」という構造上の問題です。

だからこそ、重要なことは、映像を見て一喜一憂することではありません。

「自分の感覚と、実際の動きはどこが、どの程度ズレているのか」この差分を確認するためにアウトプットを使う、という考え方が大切です。

アウトプットとは、正解フォームを探すためのものではありません。

ズレを可視化し、修正の出発点を作るための道具です。

試合では「考えない」ことも重要

最後に、もう一つだけ付け加えておきます。

実際の試合で、ボールを打つとき、「考えること」はできるだけ少ない方がよいです。

試合では、

  • 反応時間が短く
  • 状況が刻々と変わり
  • ミスへの不安も生まれます。

そこで、細かい技術を頭の中で再生し始めると、動き(反応)は確実に遅くなります

だからこそ、「直感を研ぎ澄まし、無意識の反応を最大限に活かすこと」も、重要な技術です。

つまり、

  • 考えるべきことは、練習で考え切る
  • 試合では、身体と直感に任せる

この切り替えができて初めて、練習で積み上げたものが、試合に表れます。

まとめ

バッティング理論の前に、押さえておくべきことは多くありません。

  • パフォーマンスは「フィジカル × 技術(主にスイング軌道、ボールの見方、タイミング)」
  • バッティングは確率論であり、まずはマシンを高確率で捉えることを目指す
  • 万人に効く修正点は、ほんのわずか
  • アウトプットが課題を可視化する
  • 感覚と実動作のズレを理解する
  • 試合では考えすぎず、無意識を活かす

次の第15話からは、これらの「上達の土台」を前提に、再びより具体的な技術(意識付け・練習方法)の話をしていきたいと思います。

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※本記事の内容は、筆者自身の経験と考察に基づく個人的な見解です。すべての選手・指導環境に当てはまるものではありませんので、参考の一つとしてお読みください。

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