第2話|理論迷子としての歩み――なぜバッティング理論は人を迷わせるのか?――

バッティング理論

理論迷子への入り口

「体格」「筋力」「柔軟性」といった身体能力が、バッティングに大きく影響していることは理解していました。

そして、それらを大きく変えるには並大抵の努力ではどうにもならないことも、現実として分かっていました。

それでも野球の世界を見渡すと、どうしても「説明のつかない存在」がいます。

それこそ、落合博満選手です。現役引退から長い年月が経ち、50歳を過ぎて本格的なトレーニングをしていない時期であっても、軽々とスタンドにボールを放り込む姿が映像として残っています。

もちろん、落合選手のような“特別な天才”だけの話ではありません。

  • 身体が小くてもなぜか格好よく打てる選手
  • 年齢を重ねても鋭く芯で捉え続ける選手
  • 練習はそれほどしなくても打撃がきれいな選手

そうした選手たちを前にすると、「これは単なる筋力や体格の差だけでは説明つかない」と感じざるを得ませんでした。

そして不思議なことに、そういう選手は結果を伴うことが多い。だからこそ「センスがある」と言われるのだと思います。

では、そのセンスの正体は何なのか?

これまで自分なりに考え、誰かの説明を聞いても、「これが理由だ」と確信を持てる答えに出会ったことはありませんでした。

だったら——まだ誰も言語化しきれていないだけで、強打者には必ず「共通項」があるのではないか。

その法則が見つかれば、「それができているか?できていないか?」・・・

それこそがセンスがあるかどうかの分かれ目になるのではないか。そう考えるようになりました。

「センスがある」と言われるバッターの特徴

何か理論を探し始めて、まず気づいたのは、「センスがあるバッター」と評される人たちには、決まって語られる特徴があるということでした。

俗に言われるものを挙げてみると、

  • 思いっきりがよい
  • 下半身主導で打っている
  • インサイドアウトにバットが出ている
  • 身体が開かず「壁」ができている
  • ボールの軌道にバットが長く入っている
  • インパクト後のスイングが大きい
  • 「待てる」バッター
  • トップが深い
  • 割れがある
  • 自分の間で打てる

どれも、もっともらしい。実際、映像を見ても「確かにそう見える」ものばかりです。

しかし、ここで大きな疑問が生まれました。

「一体どれが本物なのか?」

  • ある解説では「思いっきりよく振れるのがセンスだ」と言われる
  • 別の解説では「力まず振れるのがセンスだ」と言われる
  • 「下半身主導が重要だ」と言われる一方で、「手で打てる感覚がないとダメだ」と言われる
  • 「インサイドアウトや縦振りが絶対だ」と言われたかと思えば、「ヘッドを立てなければならない」と言われる

など気づけば、正反対に見える理論が「同時に正解」として存在していました。

それでも、それらの理論を語る人の横には、「実際に打っている人」の映像が必ず添えられています。

だから否定しきれない。だからこそ、混乱する。

まずは「フォーム」を徹底的に分析

特に私が強く惹かれたのは、バッティングフォームです。

様々な理論がありながらも、「強打者には共通のフォームの特徴が必ずあるはず」と考え、 動作分析や運動力学を専門とする理学療法士としての知識や経験も総動員し、バッティングフォームに直結しそうなあらゆる理論を探し始めました。

MLBやNPBの強打者のスロー動画を片っ端から見比べ、

  • どこが同じなのか
  • どこが違うのか
  • なぜ同じような結果に見えるのか

を必死に探しました。

そして共通項を見つけては、

  • 素振りで身体に馴染ませ
  • バッティングセンターで試し
  • そして試合で実験する

これが、私にとっての理論迷子の始まりでした。

おわりに

これまで、正直単に自分の技術向上のためだけに、このバッティングの探求を続けてきました。

しかし、その中で多くの発見があり、中には実際に有効であった理論や練習方法にも出会いました。

せっかくなので、これらの知見をできるだけ多くの人に共有としたい思い、この度ブログを執筆することにしました。

第三話からは、具体的なバッティング理論の各論に迫って行きたいと思います。

ぜひとも、みなさんのバッティング技術向上にお役立てください。

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※本記事の内容は、筆者自身の経験と考察に基づく個人的な見解です。すべての選手・指導環境に当てはまるものではありませんので、参考の一つとしてお読みください。

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